貧血にも効能を示す葉酸パワー
葉酸不足が原因で発症する貧血「巨赤芽球性貧血」
一般的に「貧血」と聞くと、鉄分の不足が原因であるというイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。しかし、貧血にも種類があり、その中には葉酸が不足することで発症する貧血もあるのです。それが「巨赤芽球性貧血」です。
葉酸は細胞分裂において重要な役割を持つ「DNA」の合成に欠かせないビタミンの一種です。赤血球も細胞で作られている以上、DNAの合成も重要な要素となります。特に妊娠中の女性は胎児の生育に葉酸を消費しているため、葉酸不足に陥りやすく、DNAの合成が十分に行われなくなります。
葉酸が不足することで、骨髄内では赤血球の元である「赤芽球」が大きく成長しすぎてしまいます。その結果、血液中の赤血球も大きくなり、骨髄の造血能力も上昇するのですが、巨赤芽球は赤血球になる前に壊れやすいという特性があるのです。葉酸不足が長く続くと血液中の赤血球の数が減少し、貧血の症状が現れるのです。
加えて、このような現象は赤血球だけでなく白血球や血小板にも現れます。結果、血液中の全ての血球が少なくなり、「汎血球減少症」を発症します。
ビタミンB12も関わる
巨赤芽球性貧血は、葉酸不足だけが原因ではありません。細胞分裂の際に重要な役割を果たしている「ビタミンB12」の不足も巨赤芽球性貧血の原因となります。ビタミンB12は回腸において吸収されるため、回腸の切除をした後はビタミンB12の吸収が阻害されてしまいます。
また、胃の全摘出によってもビタミンB12の吸収は阻害されてしまいます。これは、ビタミンB12の吸収に必要な内因子が胃の細胞壁から分泌されているため、全摘出後には内因子が不足してしまい、吸収が阻害されてしまうのです。
巨赤芽球性貧血の症状
巨赤芽球性貧血は、一般的な貧血と同じ症状と、巨赤芽球性貧血に特有の症状があります。一般的な症状としては動悸、息切れ、倦怠感、疲労感、などが挙げられます。巨赤芽球性貧血に特有の症状としては、舌の表面がつるつるになる「舌乳頭萎縮(ぜつにゅうとういしゅく)」や舌炎、味覚の低下、食欲不振が挙げられます。
貧血は徐々に進行することが多いので、体が血球の不足に順応することで初期症状は穏やかであることが多いです。また、ビタミンB12の不足では四肢のしびれや知覚障害、歩行障害などを患うこともあります。
初期の段階では不足している栄養を摂取することで症状が改善されることが多いです。特に妊娠中は葉酸の消費も増大するので、食事からの摂取が困難である場合にはサプリメントでの摂取が手軽で確実です。
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