クエン酸鉄Naとは
クエン酸鉄Naとはクエン酸第一鉄ナトリウムともいわれます。第一鉄は酸化して化合物(イオン)となった鉄のうちの1つです。クエン酸第一鉄ナトリウムの製法はまずクエン酸を酸性の状態にして第一鉄塩にします。その後、さらにナトリウム塩にしたものになります。緑白~緑黄の色味の粉末で、少し鉄の味がします。
クエン酸第一鉄ナトリウムは鉄とカルシウムを多く含んだ飲料や食品やサプリメントにも使用されますが、主として病院で医師の処方を受けて購入できる処方薬に使用されています。厚生労働省の認可を受けて認定されるため効果が高く、医師の管理下での利用が基本となります。
クエン酸第一鉄ナトリウムは、鉄欠乏性貧血の改善のために使用される薬です。体内に鉄分を補い、ヘモグロビンを合成します。鉄欠乏性貧血は体内に貯蔵されている鉄が慢性的に少ない状態のため、長期間の服用が基本となります。副反応として吐き気・おう吐・腹痛・下痢・便秘などが起こる可能性があります。また便が黒くなってしまいますが、これは体内に吸収されなかった鉄が排出されたものです。ちなみにクエン酸第一鉄ナトリウムは、胃酸がないと吸収されないため、胃の摘出手術を受けた人は使用できない薬です。
クエン酸第一鉄ナトリウムは、ビタミンCと一緒に摂取すると吸収率が上がります。また従来は問題があるとされていたタンニンを含む飲料との飲み合わせは、現在では特に問題がないという研究結果がでています。一方で、牛乳と一緒に摂取してしまうと吸収率が下がってしまうため、良くないといわれています。
クエン酸第一鉄ナトリウムと他の医薬品の中にも、良くない飲み合わせのものがあります。制酸剤は鉄分の吸収を阻害し、テトラサイクリン系抗生物質と合成抗菌剤であるニューキノロン系化学療法剤の場合は、両方の吸収が悪くなり、十分な効果が得られません。さらに痛風治療薬であるアロプリノールは、併用してしまうと鉄が肝臓に蓄積されてしまうため、問題があります。