葉酸が不足すると起こる症状を徹底解説
神経管閉塞障害
これは胎児が患う障害の一種です。妊娠初期には特に胎児の細胞分裂が顕著で、それだけDNAの合成に必要な葉酸の消費量も増え、不足しやすくなってしまいます。葉酸が不足することでDNAの合成が清浄に行われなくなり、異常なDNAによって細胞分裂が進んでしまいます。
特に妊娠初期は胎児の脳や神経を作り出している期間でもあり、この時期に葉酸が不足することで脳や神経に障害を患ってしまいます。特に、脳の形成が不完全になってしまう「無脳症」は、名前の通り胎児の脳が形成されないため、仮に生まれてきたとしてもすぐに死んでしまいます。胎児が無脳症であると判明した段階で人工妊娠中絶手術が行われることが多いです。
その他にも神経の先天的な障害を患う確率が上がるため、胎児の健康的な生育を阻害することになります。妊娠中は、通常の2倍弱の葉酸が必要であると言われています。
巨赤芽球性貧血
葉酸が不足することでDNAの合成が阻害されると、骨髄内では赤血球の元である赤芽球の細胞分裂に異常が現れ、赤芽球は大きくなりすぎてしまいます。これを「巨赤芽球」と呼びますが、これは赤血球になる前に壊れやすいという特性があり、長く葉酸不足が続くと血液中の赤血球が不足して貧血の症状が現れます。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃や腸の粘膜は、絶えず細胞の再生を繰り返して粘膜を維持しています。しかし、葉酸が不足することで粘膜の再生が正常に行われず、胃や腸の健康を損なうことになります。具体的な症状としては「胃潰瘍」や「十二指腸潰瘍」などが挙げられます。
潰瘍までには至らない場合でも、胃や腸の機能障害によって下痢や食欲不振を引き起こします。また、口内炎や舌炎の原因にもなります。
動脈硬化
葉酸は、アミノ酸の一種である「ホモシステイン」を「メチオニン」へ代謝する働きがあります。葉酸が不足するとホモシステインを十分に代謝できず、血液中のホモシステインの濃度が上がる状態になります。ホモシステインは血液の凝固機能や血管の内皮細胞等に影響を与える物質であるため、動脈硬化や血栓、狭心症や心筋梗塞、脳卒中といった危険な病気の原因となります。
がん
葉酸はDNAの合成に必要な栄養であり、葉酸不足は正常なDNAの合成を阻害することになります。異常なDNAによる細胞分裂は、がん細胞の発生を促すことにもつながります。また、葉酸は気管支がんや大腸がんなどの前がん状態からがんへの移行を防ぐ働きがあると考えられているため、葉酸が不足することでそれも期待できなくなります。
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