ルチンとは
ルチンはフラボノイドの一種であり、もともとビタミンPと呼ばれ、水溶性ビタミンとされていました。しかし欠乏症が見出されなかったため、現在では独立したビタミンとはみなされなくなりました。現在ビタミンPと呼ばれているフラボノイド類は水溶性のビタミン様物質とされています。
ルチンには3つの大きな働きがあります。
1つめは毛細血管の修復・強化作用です。ルチンはビタミンCとともに毛細血管を強化するのに加え、毛細血管の弾力性を保って血管を破れにくくし、血液の流れを良くする作用があります。そのため出血性疾患である脳卒中や歯茎の出血などを予防する効果があり止血薬にも利用されています。また血液循環に関係する動脈硬化・脳血管障害・高血圧などにも有効で、心臓疾患にも効果的です。
2つめはビタミンCの吸収を助ける働きです。ルチンはビタミンCの研究中に見つかった物質であることから分かりますが、ビタミンCと密接な関係があります。ビタミンCと一緒に摂取することでビタミンCの吸収は促進され、ルチンはより効果を発揮します。
3つめは老人性認知症の改善です。もともとフラボノイド類は強力な抗酸化作用をもつことで知られていますが、もちろんルチンにも当てはまります。老人性認知症に有効的な理由はルチンが脳細胞の酸化を防いで活性化させる効果があるためです。それ以外にも、すい臓に働きかけてインスリンの分泌を促進させるため、糖尿病の予防にも有効なほか、肝硬変の原因となる肝臓の線維化の予防、膝の痛みを伴う変形性関節症、紫斑病、などにも効果が認められています。
ルチンが含まれる食品として最も有名なのがそばです。なかでも韃靼そばは普通のそばに比べて1,000倍もルチンの含有量が多い食品です。とはいえルチンは水溶性のため、ゆで汁であるそば湯に溶け出してしまいます。ざるそばや盛りそばといった冷製のそばを食べる場合は、併せてそば湯も飲むとより効果的です。