鉄とは
鉄は五大栄養素のうちの1つであるミネラルの1種です。ミネラルは100種類以上ありますが、その中で鉄を含む16種類が人の生命維持に欠かせないミネラルとして必須ミネラルといわれています。人体に対する鉄の必要性ははるか昔、古代ギリシャの時代から言われており、17世紀には実験により鉄が血液を構成するヘモグロビンに含まれていることが判明しました。
鉄と貧血の関係はとても有名で、いくつかある栄養素と欠乏症の関係性の中でもよく知られているうちの1つです。しかし鉄にはそれ以外にも体内でいろいろな働きをしています。
1つめは貧血予防です。体内にある鉄分のうち60%以上は赤血球のヘモグロビン内に存在しています。ヘモグロビンは肺から酸素を取り込み、体中に酸素を運んでいます。鉄は赤血球の形成とヘモグロビンの合成に大きく関与しています。そのため、鉄が不足するとヘモグロビンの合成が足りず、結果として鉄欠乏性貧血を引き起こします。
しかし、体内の鉄分は一部貯蔵されており、この貯蔵鉄が尽きるまでは自覚症状はなく、なかなか発見されません。この状態を潜在性鉄欠乏といい、これを経て貧血の症状が現れはじめます。
2つめは疲労回復効果です。運動時は通常よりも多くの酸素を必要とするために、ヘモグロビンも通常よりも必要となります。また、運動時に生成される乳酸の上昇を鉄が抑制するという研究結果も発表されています。これらのことから、鉄は運動時の疲労回復や持久力維持に効果を期待されています。
それ以外にも、エネルギー代謝・活性酸素除去・肝臓の解毒作用などに関わっています。
鉄は動物性の食品にも植物性の食品にも含まれています。しかし植物性の食品に含まれる鉄分は非ヘム鉄で、動物性の食品に含まれるヘム鉄よりも吸収率が低いため、動物性の食品から摂取することが効率的です。
鉄分が多く含まれる動物性食品はレバーや赤身肉などの肉類がありますが、魚介類や卵黄などにも比較的多く含まれています。