ビオチンとは
ビオチンは人の腸内にある善玉菌から合成される水溶性のビタミンで、もともとビタミンHと呼ばれていました。その後、ビタミンB群に属するビタミンであることが判明したため、ビタミンB7と呼ばれていたこともありますが、現在はビオチンという呼び方が一般的です。
ビオチンには4つの大きな働きがあります。
1つめは糖代謝への関与です。炭水化物がブドウ糖へと分解された後、ブドウ糖を燃やしてエネルギーを作り出します。その過程で乳酸が発生しますが、この乳酸を再びブドウ糖へと再合成する働きをビオチンが補っています。乳酸は筋肉疲労の原因としてもよく知られていますが、ビオチンが不足すると筋肉痛や疲労感といった症状が出てきてしまします。
2つめは核酸の合成を促す働きです。染色体を構成している核酸には遺伝情報を格納しているDNAと、遺伝情報を基にして様々なタンパク質を合成しているRNAがありますが、ビオチンはDNAの合成に関わっています。
3つめは皮膚形成への関与です。もともとビオチンは皮膚炎の予防因子として発見されました。アレルギー物質が体内に入ると、皮膚炎を引き起こすヒスタミンという物質ができます。ビオチンはヒスタミンを体外へと排出する働きがあります。そのため、現在ではアレルギー性皮膚炎、特にアトピー性皮膚炎の改善に効果があるとして、研究や報告がなされているところです。
4つめは皮膚や粘膜の維持です。ビオチンはアミノ酸の代謝にも関与しています。アミノ酸はタンパク質の材料であり、皮膚・粘膜・髪の毛などを合成する基になります。そのため、ビオチンが不足することで肌荒れ・白髪・脱毛といった症状が出てしまいます。
ビオチンは牛・豚のレバー、魚介類、種実類や大豆などに多く含まれています。また卵黄にも多く含まれているのですが、卵白に含まれるアビジンというタンパク質はビオチンの吸収を妨げてしまうため、卵の取りすぎは逆にビオチン不足を引き起こしてしまうことがありますので、注意が必要です。