ビタミンB1とは
ビタミンB1はチアミンとも呼ばれる水溶性のビタミンの1種です。大きな特徴としては、熱にとても弱いという性質があります。そのため、調理の過程で長時間加熱してしまうと、ビタミンB1は壊れ消失してしまいます。
ビタミンB1は疲労回復のビタミンとも言われていますが、大きく2つの働きを持っています。
1つめは疲労の蓄積の防止です。炭水化物が分解されてできたブドウ糖は体を動かすためのエネルギーの基になります。ブドウ糖をエネルギーへと変換するためにはビタミンB1が必要となります。ビタミンB1がなければブドウ糖はエネルギーへと変換されず、乳酸という疲労物質へと変わって、体内に蓄積されてしまいます。また、ビタミンB1はアミノ酸からエネルギーを作り出す際にも重要な役割を担っています。これらの働きが疲労回復のビタミンと言われる理由です。
2つめは中枢神経・末梢神経の機能維持です。中枢神経や末梢神経は脳がコントロールしていますが、脳のエネルギー源は主に炭水化物から生成されるブドウ糖です。ビタミンB1はブドウ糖がエネルギーへと変換する際には必要不可欠な栄養素です。そのため、ビタミンB1が不足し脳に十分なエネルギーが行き渡らないと、脳の働きが悪くなり、イライラする・気持ちが不安定になる・集中力や記憶力が低下するといったことがおこります。また、末梢神経の働きが悪くなることで運動能力の低下も起こってきます。末梢神経の障害によって最後には命の危険も出てくる脚気(多発性神経炎)は、ビタミンB1欠乏症として最も有名な病気です。
またビタミンB1には脳の神経伝達物質を正しく保つ働きがあることや、アルツハイマー型認知症の予防・改善効果についても研究・報告があります。
ビタミンB1は野菜や果物にはほとんど含まれておらず、豚肉に最も多く含まれています。魚類ではうなぎや魚卵であるたらこ・いくらなどがあげられます。また、玄米も有名ですが、これは白米への生成過程で取り除かれてしまうぬかの部分にビタミンB1が多く含まれているためです。