妊娠と葉酸の関連性をどこよりもわかりやすく考察してみた
葉酸はDNAを作るのに必要
なぜ妊娠する女性にとって葉酸が重要になるかというと、葉酸はDNAを合成するのに必要不可欠な栄養だからです。人や数多くの生物は、細胞分裂を繰り返すことで成長します。胎児の場合は特に短期間で細胞分裂を行うことで急速に成長することができます。
さて、細胞が分裂するということは、同じ細胞のコピーを作り出すことになるのですが、コピーの際にはその元となる情報が必要になります。その役割を果たしているのがDNAなのです。つまり、DNAは「設計図」であり、葉酸はさしずめ設計図をコピーするための「インク」といったところでしょうか。
葉酸が不足すると
いくら高性能なコピー機で設計図をコピーしようとしても、インクが切れていてはきちんとしたコピーを行うことはできません。その結果、設計図であるDNAは正常にコピーされなくなるのです。設計図が間違っていれば、その結果出来上がるものも正しく出来上がるはずはないのです。
皆さんは、間違った説明書や設計図を元に、作ったことのないプラモデルや組立家具を作り上げることは出来るでしょうか。仮にその設計図通りに組み立てたとしても、想定した通りの機能性は保持していないはずです。さて、これが妊娠においてどのような弊害をもたらすかというと、実は場合によっては取り返しのつかない事態に陥る可能性があるのです。
胎児は、妊娠2ヶ月~3ヶ月までに神経や脳を作り上げます。その際、葉酸が不足すればDNAを正常に合成することができず、神経や脳は正常に作り出されなくなるのです。胎児は正しい機能を持たない脳や神経を持ったまま細胞分裂を繰り返して体を作り上げていくのですが、無事に生まれたとしても脳や神経に障害を持った状態で生まれてくるのです。
一般的に「先天性」と呼ばれる病気はこうして発生するのです。脳や神経を完成させるのは遅くとも妊娠3ヶ月後まで、つまりそれまでに葉酸が不足していては先天性の障害を起こしやすくなるということなのです。妊娠初期は特に胎児が細胞分裂を行っている時期でもあり、それだけ大量の葉酸を消費するのですから、それだけ前もって葉酸を摂取しておくことが必要になるのです。
妊娠してからでは遅いかも?
さて、妊娠において葉酸が重要な役割を果たすことが分かりましたが、妊娠してから葉酸を摂取し始めても遅い可能性があるのです。例えば、何かしら継続して出費があることが分かっているとして、その出費が始まってから貯金を始める人がいるでしょうか。既にお金を使い始めなければならないのですから、前もってお金を貯めておかなければならないはずです。
妊娠においても同様で、葉酸を大量に消費し始めてから葉酸を摂取し始めても既に消費は始まっており、既に不足している可能性も否めません。妊娠してから摂取しても遅くはないという考え方もあるようですが、できるだけ妊娠前からサプリメント等で葉酸を摂取しておくことが望ましいです。