ビタミンB12とは
ビタミンB12はコバラミンとも呼ばれる水溶性のビタミンの1種で、同じような作用をする化合物の総称です。コバラミンという別名の理由は分子内にコバルトを含んでいるためですが、主なビタミンB12にはシアノコバラミンやメチルコバラミン、またアデノシルコバラミン、そしてヒドロキソコバラミンなどがあります。
ビタミンB12の働きには大きく4つあり、欠乏すると様々な症状を引き起こします。
1つめは核酸や赤血球の合成や調整です。核酸にはDNAとRNAの2種類がありますが、そのうちの遺伝情報を格納しているDNAの合成に関与しています。また赤血球は骨髄で常に作られていておよそ120日で分解されます。新しい赤血球は造血の過程で失ってしまいますが最初は核をもっているため、DNAも合成されるのです。
2つめはエネルギーや脂質の代謝への関与です。エネルギー代謝の経路の構成に必要とされる脂肪酸の生成に関与している酵素を補う酵素として、深く関わっています。
3つめは神経機能の維持や改善です。神経線維のなかの軸索という部分を覆っている脂質膜の生成に関与しているため、末梢神経だけではなく中枢神経の機能の維持や改善に働きかけます。
4つめはホモシステインの濃度を下げる効果です。ホモシステインは必須アミノ酸の一つであるメチオニンへと合成されますが、ビタミンB12はその合成に関与する酵素を補う働きをします。ビタミンB12が体内で不足すると、巨赤芽球性貧血(悪性貧血)を引き起こして頭痛・めまい・吐き気などの症状が出たり、消化器官に障害を起こしたりします。さらに、神経細胞の障害から知覚異常や睡眠障害が出たり、末梢神経への影響から肩こり・腰痛・しびれなどの症状が出たりします。またホモシステインの血中濃度が上がることによって、動脈硬化や心臓病のリスクが上がります。
ビタミンB12は魚介類や肉類から摂取できますが、野菜や果物にはほとんど含まれていません。ビタミンB12が豊富に含まれている食材は、しじみ・赤貝・あさりなどの貝類、牛・豚・鳥などのレバー、いわし・さんま・さばなどの青魚、のりや青のりなどがあげられます。