葉酸の持つ5つの効能を改めて考えてみた
葉酸の効能について
赤ちゃんの正常な発育を促す
葉酸の持つ働きは、DNAを正常に作り出すことです。これは特に妊娠初期の女性にとって重要な意味を持ちます。特に妊娠3ヶ月目までに胎児は脳や神経を作り上げ、そのために夥しい勢いで細胞分裂を繰り返します。
この時期に葉酸が不足すると、DNAを正常に作り出せなくなり、結果として正常な細胞分裂を妨げてしまいます。その結果、胎児の脳や神経に先天性の異常が現れ、神経管閉塞障害などを患った状態で生まれてくるのです。そのため、厚生労働省は以前から妊娠の際には葉酸を摂るようにと周知しています。
細胞の再生を助ける
先程も述べたように、葉酸は細胞分裂に重要な役割を持つDNAの生成に必要不可欠な栄養です。そして、細胞分裂を行っているのは胎児だけでなく、老若男女問わず私たちの体内でも細胞分裂は繰り返されています。私たちの体内でも、特に細胞の再生が繰り返されているのは胃や腸の粘膜です。
食べ物の消化のためには粘膜を消耗する必要があり、消耗した分は再生をしなければなりません。その際に葉酸が不足すれば細胞分裂が速やかに行われなくなり、粘膜が不足することで消化不良などを引き起こすことになります。それ以外の部位においても細胞を再生させる際に葉酸が不足しては、速やかな再生が妨げられて病気の原因となる可能性があります。
赤血球の合成に関与
葉酸やビタミンB12が不足すると、細胞分裂が上手くいかなくなり、骨髄内で赤血球の元になる「赤芽球」が大きくなってしまいます。これを「巨赤芽球」と呼ぶのですが、巨赤芽球は赤血球になる前に壊れてしまうのです。結果、血液中の赤血球の数が減少してしまい、貧血を起こすのです。
巨赤芽球性貧血の原因は葉酸やビタミンB12の不足なので、不足している栄養を摂取すれば症状は改善されます。ただし、同じような検査値の以上を示す病気として「骨髄形成症候群」や「赤白血病」などの造血器悪性疾患がありますので注意が必要です。
動脈硬化の防止
葉酸には、アミノ酸の一種である「ホモシステイン」をメチオニンへ変化させる働きがあります。しかし、葉酸が不足するとホモシステインが変換されず、血液中に蓄積されます。ホモシステインは「血液凝固因子」や「血管内皮細胞」に対して影響を及ぼし、動脈硬化や動脈血栓の原因となります。
葉酸の摂取によってホモシステインの代謝がスムーズに行われ、動脈硬化の防止につながります。また、同様の働きをするビタミンB6・B12を併せて摂取することでホモシステインの代謝がより促されます。
がんの防止
葉酸を摂取しているとがんになるリスクが下がるという研究結果が報告されています。これは、葉酸がDNAの合成に重要な役割を果たしていて、正常な細胞を作り出すのに必要であることが理由だとされています。