ビタミンAとは
ビタミンAにはA1とA2があります。A1はレチノールと、レチノールが体の中で化学変化を起こしたレチナールとレチノイン酸を指します。A2はA1の類縁化合物です。このA1とA2を総称してビタミンAといい、脂溶性ビタミンの1つです。脂溶性ビタミンは体内に蓄積されるため摂取過多になると過剰症を引き起こしてしまいますが、ビタミンAは通常の食事ではその心配はほとんどありません。
ビタミンAの働きには大きく3つあります。
1つめは視神経の維持です。網膜細胞の中には明暗を感知する細胞と色彩を感知する細胞などがあります。明暗を感知する細胞の主成分がビタミンAです。また色彩を感知する細胞にもビタミンAは関わっているため、目の正常な働きにはビタミンAが必要不可欠です。そのため、ビタミンAが不足するとドライアイや夜盲症といった症状がでてきてしまいます。
2つめは皮膚や粘膜を正常に保ち、免疫力を高めることです。ビタミンAは皮膚や粘膜などの上皮細胞を生成・管理維持するために欠かせない栄養素です。皮膚や粘膜はバリアの役割があり、傷や感染症から体を守り、体内に病原菌が入ることを防ぐ免疫効果のひとつです。免疫力が低下すると口内炎ができやすくなったり風邪をひきやすくなったりします。また、乾燥肌や脱毛の原因にもなります。
3つめはがんの予防です。がんはアポトーシスといわれる細胞が良い状態を保つために自死するプログラムが正しく機能しないことで発症します。ビタミンAはアポトーシスを誘導する物質であり、がんの発症を抑制してくれる効果が実証されており、医療分野での研究も進められています。
ビタミンAは肉類のレバー、魚類の肝に多く含まれています。肉類であれば鶏と豚のレバーが際立って多く、魚類であれば、あんこうやうなぎの肝が肉類のレバーには劣るものの多く摂取できます。その他にはマーガリンやバターといった油脂類や乳製品、玉子などがあげられます。